日比FTAでのフィリピン人看護婦受け入れついて思うこと

2004年春より継続討議されてきた日本とフィリピンの自由貿易協定(FTA)交渉の結果、日本政府はフィリピン人看護婦、介護士の受けを基本的に合意し、来年度より両国間で受入れにかかわる制度的枠組み作りに着手することを決定した。その概要は、
1.就労VISAは日本人と同等の資格の取得を条件とする。
2.日本はODAにより、フィリピンにエキスパートを送り、資格取得の高いハードルとされる日本の文化、日本語教育、現場実務などの教育、訓練をフィリピン政府と協力して行う。
3.受入れ人数は、看護師100名、介護士100名の計200名までとする。
4.日本での就労先となる病院や介護機関の紹介は日本の公的機関が行う。

私はこの決定に関して大変危惧しています。先ず、この報が日本、フィリピンともに余りにもタイミング良く内外に向けてアナウンスされたこと。しかし、その内容は極めて漠然としていて、性急かつ妥協的な政治決着のように思えてならないのです。
l 介護保険制度が施行されてまだ4年弱、施行後3年5年で行うとされた検証や制度上の欠陥の総合的に見直しはされたのか。
l 外国人労働者の受入れは将来的には不可避と判断するがどのような産業分野または職種が対象となるか検討されたか。また、パートタイマー、派遣社員、フリーターなどの新たな労働層や、企業の雇用制度と現行労働法との関係などへの影響などは・・・・。
l 外国人犯罪の増加、テロ対策を背景に入管、警察連携して行ってきた違法在留外国人の取締まり強化によって、フィリピンより今日まで年間7~8万人の女子を受け入れてきた「興行」分野で、資格外活動、不法残留を理由に大量の退去強制処分(強制送還)が発生している。
l 米国国務省より、日本がHuman Trafficking(人身取引)の監視対象国として上げられた。(多くの外国人女性が風俗産業当で働いている実態が関連として取り上げられた。
l ODAを通して現地での教育訓練を行い、日本での受け入れ先は政府が行うとされているようだが、何れは民間の手に委ねる事になるだろう。そこに一部の者だけに便益が図られたるなどの利権や政治汚職を誘発しないか。
最も気に掛かることは、この度のFTAの決定について国民に対して政府より十分な説明がなされていない事ことです。
入管法の「興行」を通して十数年間にも渡り受入れ、6ヶ月に限り就労してきたフィリピン人タレントが現実には興行先とされているナイトクラブやパブで接客に従事して来たことは、両国の派遣、招聘に携わる関係者はもとより、入管業務に携わる者、クラブの客など衆目の知ることではないでしょうか。フィリピンで派遣元となっているRecruitment Agency、日本で招聘に当たるプロモーター(入管法で認定する外国人芸能人招聘業者)、出演先と称されるクラブやパブにしろ全て両国の公的機関で認証されているのです。この様な両国政府によって作られた制度の枠組みの下で「合法的」に入国したフィリピンの女子が、職場で働き始めるや、これまた入国を認めた入管の手で資格外活動を理由に退去強制の処分を受ける。制度上の欠陥による犠牲者は当人らの方ではないでしょうか。ILOからも日本は、この様な被害者への人道的配慮が足りないと指摘を受けてもいます。
フィリピン人看護、介護士が高いハードルを越えて日本で働き始めたが、職場での日本人同僚との軋轢や適応力不足などで雑用係に配置換えされたり、資格外活動で退去強制を受けることにでもなったら、その時こそ日本は世界に恥を晒すことになるでしょう。
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by jpaccess | 2004-12-02 16:43 | 時事ニュース
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