海外在住者からみた「NHK」問題、その事実と真実は・・・・・。

私はフィリピンに在住しています。スカイケーブルという有線放送でTVを見ているので、海外のチャンネルは多いのですが日本の番組はNHKの海外版と民放の番組を編成して配信している現地日系CTVの2チャンネルだけ、報道番組を見る時はローカル局の英語放送とCNN、それとNHKと決まっております。

NHKと朝日新聞との問題を最初に知ったのは、やはりNHKのTVニュースからでした。偶然、眺めていたニュース番組の最後に、アナウンサーが、詳細には記憶していませんが、「朝日新聞より批判を受けている件でNHKの番組編成には政治的な圧力を受けていないことが分かりました、・・・・・」とかいう内容だったと思います。

初めに、このニュースを知った時には、一体何の事だか分からずに、その後のNHKニュースを追ったり、Web上で邦字新聞の記事に目を通したり、JANJANの投稿などを読んで行くうちに、その番組改変(改編)とは、NHK教育テレビETV2001「戦争をどう裁く」の第2回「問われる戦時性暴力―女性国際戦犯法廷」という4年前の出来事を指していることが分かりました。

最初の内は、NHKが内部の不祥事で批判を受けている最中に、ここぞとばかりに朝日新聞が追い討ちを掛けている程度にしか考えていなかったのですが、日に日に各メディアでの取り扱いは熱気を帯びてくるし、当事者であるNHKと朝日新聞の論争のみならず圧力を掛けたと称される政治家の国会喚問、更には朝日新聞対産経新聞、読売新聞の論調対決、JANJANでは特別の投稿枠まで設けるようになって、私も否が応でも関心を払わざるをえなくなりました。

まず、一般の人達がTVや新聞等のマスメディアやマスコミ、ジャーナリズムには非常に関心を払っている様子と、それぞれの視点で大きく異なる主張がなされている状況を見て、日本での言論の自由に対する私の危惧は杞憂の事と思いましたが、ジャーナリズムとその担い手である所謂ジャーナリストに関しての私の杞憂は晴れません。
と言うのは、最近新聞で見かける記事のなかに、情報源の発言や公表をもとに、単に読者の関心を得るためなのか、法律や制度又は科学の基礎的知識があれば有り得ない内容が、記者の推測によるのか編集者の意図によるものかは知りませんが、掲載されているのを見かけます。TVでの記者会見の実況をみても、記者からの事実をえぐりだすような鋭い質問もなく主催者の一方的演説に終わるような場面を見ることが多いからです。
私は、各メディアから流れてくる情報には、取材者の意識、編集者の判断、それらが所属する組織の意図というものが影響するものであって、それは避けがたい現象としてある程度容認しています。それ故に大事なことは、情報の受け手である我々は、その情報に無批判に流されることなく「事実と真実」を確認する姿勢を持つことであろうと思います。そして、自分の価値観に照らして咀嚼していくべきだと確信しています。
一方、ジャーナリズムで最も大事なことは「事実は事実として伝えること」であって、記者、レポーター、キャメラマンなどのジャーナリストは、特に取材する再に「事実の伝達者」であるとの自覚をもち、対象に関しての知識の習得にも研鑚すべきであって、ジャーナリストを社会的に尊敬される職業と自任している記者諸兄には、その点を市民記者である我々以上に自覚して欲しいと思っています。JANJANに市民記者として投稿している私は、自分をジャーナリストとは思っていませんし、一般市民としての立場で投稿していますが、事実と自分の推測とは読む側に分かるように記述することを心がけているつもりです。

さて、この様な観点から「NHKと朝日新聞」の問題をとらえると、真実は相変わらず闇の中。
事実は4年前にNHKが製作依頼した作品を、放送間際でNHKの番組編成作業によって当初予定より3分短縮して放送した。 その件に対して製作会社がNHKの編集によって作品が同社の意図と異なる内容となったことで訴えている(一審判決は下りている)。又、この番組制作責任者であったNHKの長井暁プロデューサーが、NHKが昨年9月に設けた「コンプライアンス(法令順守)通報制度」をもとに、改変について内部告発した。告発の内容は、改変は海老沢勝二会長ら上層部も当時承知していたし、NHKは番組編成に際して政治家の圧力を受けているというものであった。
そして、その問題を朝日新聞が大きく扱い、NHK関係者や取材インタビューで得た談話などを記事にしてNHK批判を展開した。

そして、この問題の背景には、放送法、検閲、言論の自由、公共放送のあり方、従軍慰安婦問題、多様なイシューが横たわっているということで、JANJANも特別枠を設けて市民記者の投稿を取り上げています。このイシューの一つ一つに関して自説を述べるには紙面も知識も十分でないので、NHK民営化論にのみ絞って、市民の立場から投稿します。

現在、海外へ出かける日本人は年間1000万人を超え、海外在住の日本人は100万人を超えているのではないでしょうか。その中の一人である私にとってはNHKの存在は有難いものです。インターネットの発達で海外からでも日本で日々起きている出来事を知ることは容易になってきているものの、TVやラジオ程に比べればその域には達していません。
仮にNHKが民営化されたとして、現在と同様に海外向けのサービスを続けて行くことが出来るでしょうか。運営費用をスポンサーの広告費用に頼る民間TV局では、経営効率の点からも視聴率獲得の点からもNHK同様のサービスを継続することは困難だと思います。
NHKの受信料を払っていない海外在住者としては、NHKの運営に関して発言権はないのかもしれませんが、否、私はローカルのCTVに受信料を払っているし、そのローカルのCTVはNHKに対して配信料を払っているのだろうから間接的にはNHKに受信料を払っていることになる。すると、NHKの受信料を払わずに国内でNHKの番組を見ている人達と払っている人達の間の不公平さ同様、海外での受信者は一体幾らの受信料を払っているのかの点で不透明さが残る。

すると、NHK問題は公共放送として、受信料と運営の公平、公正、透明性を如何に担保するかと言う問題が一番大事なことなのかもしれない。「政治的中立性の確保」や「言論の自由」等も重要な事柄ではあるが、マスメディアが発達した今日、放送倫理に照らして公共放送局が逸脱した行動をとれば、すかさず批判勢力が其れを質す環境が育っている。「NHKの番組改変問題」が、その事実確認にと止まらず各メディアが夫々の視点で大きく取り扱っている事からもそれは証明されているのではないだろうか。
しかるに、憲法改正論議が浮上している今日、公共放送としてNHKを規定している法令や制度自体の根本的見直しは是非必要なことだと思う。会計監査制度や懲罰審査などを第三者機関に委託するなどして、経営の支配層からの影響を排する制度や、関連子会社の経営実態も含め、より開かれた組織体を形成する為にはどうしたら良いか、公共放送の積極的意義を土台に専門的な観点から検討して欲しい。
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by jpaccess | 2005-02-16 13:21 | 時事ニュース
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