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人身取引対策行動計画が閣議決定

12月7日、アメリカ国務省から日本が人身取引(Human Traffiching 何故か人身売買とは訳さない)の監視対象国に上げられ、親ブッシュの小泉政権は反論することもなく、他の重要案件をよそに、議論ないままに人身取引対策行動計画を閣議決定した。これも人道的見地からの判断なのだろうか。この決定に至る過程で「フィリピン人看護師・介護士受け入れ」「フィリピン人芸能人の入国制限」示された政策方針は、その伏線であったのだ。
前記二件に関しての所見を記述する前に綴った「独り言」をブログに入稿しておこう。

日本とフィリピンのFTA交渉の結果、フィリピン人の看護師、介護士の受入れが正式に認められた。その内容は、日本人と同等の資格取得を前提に、年間看護師100名、介護士100名を受け入れる。資格取得に必要とされる日本語や日本の文化などの知識習得には、ODAによりフィリピンに看護、介護関係のエキスパートを派遣して教育に当たる。日本での就労先となる病院や介護機関の紹介は日本政府機関がおこなう。この結論が、この時期に急遽、其れも余りにも漠然とした内容で公表されたことに、何か両政府による国内に向けた政治的パフォーマンのようにしか見えません。

先ず、この決定が下されたタイミングですが、今年に入り日本は、米国国務省のレポートで国際的なHuman Trafficking(人身売買)の対象国の一つに上げられた。米国は911事件以来テロ対策の一環とし国際的な人の移動には神経を尖らせてきたのは言うまでもありません。米国はHuman Traffickingを「ビジネスとして非合法な手段で国際的な人の移動を幇助したり、売買春などの人身取引が盛んに行われている国」として指摘したのだと私は思っています。しかし、政府はこうした国際的な非難と国内での外国人犯罪の増加をからめて、警察、入管(略)連携のもとに不法滞在者や違法入国斡旋ブローカーなどの取締りに、従来以上の厳しい姿勢で乗り出しました。
その結果、入管法(略)の興行資格で合法的に入国したフィリピン人タレント(現実にはダンサー、シンガーと言うよりホステスとして働いている)が入管法で禁じている接客に従事していた事や、VISA申請時と異なるところで働いていたことを理由に即刻国外退去の処分を受ける事例が頻繁に起きています。勿論、クラブに派遣したプロモーター(正式名:外国人芸能人招聘業)やクラブも招聘資格認定の取消しや営業停止の処分を受けます。
一方、フィリピン国内では渡航タレントへ交付される資格認定証(ARB)正規プロセスを経ずに交付されている事例が発覚、それを契機とした監督官庁の業務移管、派遣制度の見直しなどで派遣プロセスが停滞しました。このような状態が続くとなると年間7~8万人近くに及ぶタレントの渡航が半減する恐れもあるとして、フィリピン側で派遣元となっている海外労働派遣業者(Recruitment Agency)に日本のプロモーター関係者も加わり、正常化に向けて大統領府への陳情、請願が繰り広げられました。5月に行われた大統領選挙さなかの事です。
フィリピン側からすれば外貨収入を海外労働者の送金に依存しているお国柄、イラク戦争で年間20万人以上を送り出している中東市場の行く末も危ぶまれているのですから、アロヨ大統領が日本での外国人介護士、看護師の受入れ問題を外交交渉の優先項目として選んだのも頷けます。 勿論、民間でも前出のRecruitment Agencyのみならず日本に働き口を求める人達の間では期待が高まる一方でした。
日本では参議院選挙が行われる前の事だったのではないでしょうか、小泉総理の口からも高齢化社会への対応策の一つとして外国人介護士の受入れ容認のごとき発言があったのは? その総理が日頃から親しく頼りにしているブッシュ大統領のお膝元である国務省から突然Human Traffickingで名指しされたのですから小泉総理もさぞかし驚いたことでしょうね。そこで、やおら官邸の執務室に戻り、ホットラインでブッシュ大統領に事の顛末を訊ねたのです。
…以下私の想像とアドリブ…
「オー アイム ソーリー 小泉ソーリー、丁度私も貴殿にお詫びと共にご相談したい事があって電話しようと思っていたところです。」
「イヤー驚きました、身内を親米派で固めて選挙に臨もうとしていたところにHuman Trafficking での指摘、ところで相談とはどんな事ですか?」
「Human Traffickingの件はテロ対策としてFBIやインターポールなど動員して米国への密航者や其れに拘わるシンジケートの割り出しに努めてきたのですが、その結果中国からの密航者のなかには日本人の同伴者に導かれ、日本の偽造パスポートを持参して入国しているケースが判明したのです。それも組織的かつ巧妙にです。貴国のパスポートは国際的に信用あって観光旅行と称して家族同伴を装って来ると空港の入管職員も見分けがつかなかったようです。また、各国のイミグレーションでの違法摘発事例の統計を取ると貴国が関わっている事例が結構多いのです。そのうちテロに結びつくようなケースは皆無といってよい程ですがね。公表は避けたかったのですがメディアやNGOがうるさくてね…」
「ああ、それで分かりましたブッシュ大統領、確かにご貴殿の指摘の通り我が国でも不法在留外国人の摘発を強化した結果、多数の不法滞在者や違法就労、更には入国斡旋ブローカーの介在のケースが発覚しましたからね。それで相談とは?貴国への渡航に際しての事前届出制とかパスポートの様式変更の件ですか?」
「いや、その件はおいおい外務省及び法務省レベルで詰めれば良いでしょう。お願いと言うのは、実はフィリピンのアロヨ大統領からの依頼なのです。イラクでフィリピン人ドライバーがテロ組織に拘束され、身柄開放と引き換えに派遣部隊を在留期限1ヶ月残して撤退した件はご存知のことと思いますが・・…。アロヨ大統領にはテロとは一切妥協せぬよう説得を試みたのですが駄目でした。その際ご本人から、イラン戦争よる海外労働の喪失、国内でのイスラム社会とカソリック社会の軋轢拡大への恐れ、更にはイスラムの多い東南アジアでのフィリピンの重要性だとか、米国籍フィリピン人の投票の行方など外交的には手ごわいところを見せ付けられ、その挙句に日本での看護師と介護士の受入れ問題に力を貸して欲しいと頼まれてしまったのですよ。うちのファーストレディも強いがアロヨ女子も中々ですぞ」
「ムムム・・・ブッシュ大統領そうは言っても・・・世論がどうでしょうか・・・」
「小泉総理、貴方なら出来ますよ。我が国はフィリピンには弱みもありましてね、マルコスの独裁体制を支持し、ベトナム戦争の時には同国に主力基地を置き軍の派遣も要請しました。そして、傷痍軍人の治療はフィリピン人医師や看護婦が当たりました。フィリピン人の看護婦は我が国でも数多く働いています。優秀ですよ、あまり心配せず受け入れたらどうですか。その姿勢だけでも示せれば十分ですから。Human Traffickingの件はアロヨ大統領も同意していますし私もAPECでの主要議題に成らぬよう根回ししますから」「ああ、それと言い残した件があります。北朝鮮の件ですが私が当選の暁には拉致被害の件も協力して追及しますから」
「そうですか、お約束頂けますね。まあ確かに我が国には選挙の争点として北朝鮮の拉致問題や年金問題、イラクへの自衛隊派遣の問題と重要案件が山程ありますからHuman Traffickingの問題は話題にならないかもしれませんね。何とか落し所を見つけてみましょう。最後に、これはこちらからのお願いですが、貴国では来年海外基地の大幅な編成変えを計画中と聞きますが、どうか沖縄の普天間基地の問題にもご配慮下さい。 在留米軍基地となると世論は敏感に反応しますから」
「分かりました。小泉総理もなかなかですな。それではお互い選挙にベストを尽くしましょう。God bless you!!! 」

こんな会話のやり取りの結果がFTAでの結論だったら全く残念ですし、また大変心配です。これまでの入管行政の変遷を追ってみると、そのように感じてしまいます。Human Traffickingの話は私の創作ではないのです。実際にこの秋に外務省より数名の担当官がフィリピンに派遣され在マニラ日本大使館の担当領事、フィリピン側の外務省、労働省役人も含め実情調査と会合が持たれたのですから。前述の興行での大量処分の件も議題に取り上げられました。
しかし、興行資格で入国した外国人の一斉取締りは何も今日に始まったことではありません。入管法では外国人芸能人招聘業者や出演先(クラブ、フィリピンパブ)の認定基準を設け、フィリピン側での資格認定機関やVISA申請のプロセスまで両国政府間でその枠組みを作り十数年来実施してきたのです。そして、歌手やダンサーとして来日した外国人女子が実際にはクラブやパブで接客に従事している実態は関係者なら誰でも知っているはずです。しかし、入管はある時期はそれを黙認し、何か状況が変われば違法摘発に乗り出す。各入管局ごとで審査基準や現場査察の対応も異なる場合があるとの事、私には不可解でなりません。殺傷与奪の権限さえ担保しておけばいつでも統制できるとの“お上”の発想が見え隠れしてなりません。
更に、外国人の違法就労が社会問題になったのは何も興行部門に限ったことではありません。バブル経済の最中人手不足が深刻化した時には、建設現場の多くで外国人労働者の姿を見ましたし、大手企業で入管法の研修資格で外国人を招聘し、実際は正規社員が好まない職場に配置していた事例も発覚しました。ある日本語学校では海外で本校へ入学すれば学生VISAが取得できる、日本で働いて高収入も得られると称して相手国で入学願書を受け付け定員の数倍の入学者から入学金や授業料を受け取り多額の利得をあげていた事例など、数えれば限がありません。
更に、条約により短期滞在の査証(VISA)が免除される「査証免除措置」の対象国は、今流行の“国益”に鑑み度々、変更されてきました。イランに石油を依存せざるを得なかった時には免除措置対象国になりました。その結果、たくさんのイラン人が働き口をもとめて入国しました。イラン革命が勃発し反米国家になると免除措置は取消されましたが、多くのイラン人は残留し不法滞在者となったのです。その後、新体制となったロシアとの北方領土返還やシベリア開発が外交課題になると短期期滞在で日本を訪れるロシア人女性もふえました。興行のVISAを取得せずに入国し、外国人クラブで働くロシア人女性の姿も見受けられます。ごく最近の事では韓国が同様です。民主化が定着したことや国力が上がったからでしょうか。私には寧ろ北朝鮮への対応をにらんでの事と思うのですが。
この様に入管行政はその時々の外交上の配慮や国内の社会情勢の変化に応じて対処療法的に改変してきたように思います。しかし、入管法の根底にある外国人の国内就労に対する消極的な姿勢、単純労働者に至っては全面否定の骨組みはあまり変わってはいないように思います。
所得の格差がある限り、人は低きから高きへと国境の壁すら超えて移動します。これは自然の流れです。容易なことでは食い止めることは困難でしょう。島国という地勢的条件に助けられて多民族の大量流入もなく単一民族国家を維持してきた日本が、今までに経験したことの無いほどの外国人の流入に出合ったのは、高度成長の終焉期に向かう80年代後半のバブル経済の時ですからそれほど古い話ではありません。さぞかし入管当局も慌てたことでしょう。職員をどんなに増員しても違法就労や不法滞在を取締まるのには追いつきません。当時は、人手不足も相まって中小企業の一部には不法滞在者と分かっても彼らの手を借りなければ工場の操業すら出来ない状況も現出していましたし、入管の対応が後手後手に廻ったのは致し方なかったのかもしれません。

空白の10年、経済が停滞する中で外国人雇用のニーズも減少し、徐々に不法就労、不法滞在の問題は世間の目から遠のいていきました。寧ろ、バブル経済崩壊後は、金融機関や不動産などの大型倒産が続いたにも拘わらず円の対ドル相場は上昇を続け、世間の関心は「産業の空洞化」に象徴されるように、工場の海外移転などで日本人が活動の場を海外に求める方へ向いていきました。しかし、「円」を求める海外からの流れは変わりません。外国人入国者数は1990年に約350万人でしたがその後も上昇続け10年後の2000年には450万人を超えました。現在は入管が把握していない数を加えれば500万人に達しつつあるのではないでしょうか。この間、入管行政は今までの遅れを取り戻すため色々の改革に着手しました。就労対象職種の拡大、研修制度の改正と推進機関の整備、日系2世の定住枠の新設、入管情報の公開等などがあげられます。しかし、雇用の分野は相変わらずの厳しい規制がしかれています。

停滞していた経済にもやっと薄日がさし始めたので安堵しつつ先を見つめてみたら、何とそこには不気味な暗雲が漂っているではないですか。「人口の高齢化と少子化による人口減少」です。国民の目にも、年金問題を契機としてこの暗雲の正体が避けて通れぬ、差し迫った重大事として見えてきました。高齢者介護の問題も然りです。
経済界からは早くも、日本の経済を安定して発展持続させる為には外国人労働者を受け入れなければならないと云う言葉も聞かれるようになってきました。そして、そこにフィリピンからの看護師、看護士受入れの要請です。時同じくして、Human Traffickingで汚名をきせられたうえ、長年両国合意の下で築いてきた興行の分野で大量のフィリピン人タレントの退去強制処分が行われている最中です。フィリピンからの反発も大きかったと想像します。日本政府の看護師介護士の受入れ決定がフィリピンに限って下されたこと、そのタイミングからしても、あまりにも性急かつ妥協的な政治決着のように思えてならないのです。
政府回答では「日本人同等の資格取得を条件に年間看護師100名、介護士100名を受け入れる。資格取得に問題となる日本語、現場実習に関してはODAとしてJICAを通して訓練機関を設け日本人のエキスパーが指導に当たるなど、その枠組み作りに着手する」となっているようですが、興行分野でも、前述のフィリピン人タレントに与えられる認定証(ARB:Artist Record Book)やトレーニングカリキュラムの設定など現行制度の確立にあたっては、同様にJICAを通して派遣された労働省のエキスパートが現地の政府機関と共に枠組み作りに当たったのですから・・・。92年~93年の事だったと思います。
何れにせよ介護保険制度が施行されてから未だ4年弱しか経過しておらず、施行後3年の経過分析、5年の制度見直しの段階を踏まぬうちからの決定とは性急過ぎるように思ってならないのです。現時点でも地方自治体での保険財源の問題、介護士報酬や労働環境など諸々の問題が上がっているのが実情ではないでしょうか。近年、医療現場では院内感染や医療ミスで医療現場での事故が多発した背景に日本の医療制度上の欠陥が起因しているとして制度改革の声もあがっています。看護師にしても然りです。准看護師の病院からの紐付き奨学金や学習と院内実務のバランスや労働条件など解消したのでしょうか。
更に、長期の経済停滞期のもとで社会の基盤を支えてきた企業の雇用形態も大きく変わりました。終身雇用形態は崩れ、年功序列の賃金体系も成果主義に基づく体系へと移行する企業が多く見られます。定期昇給、定期採用もひかえ派遣社員やパートタイマーの採用を積極的に進める企業が多くなっています。若年世代にはフリーターという新しい労働層が現出している今日です。10年後の国内労働市場はどのような形になっているのでしょうか。
確かに10年後20年後には日本の方から海外労働者に特定の産業分野を請け負ってもらわなければならない時代が来るのかもしれません。それは、まず現在でも労働力が不足しがちな所謂3K分野から起きるでしょう。介護分野だけではないはずです。この3K分野は所謂入管法で規定しているところの「単純労働」〔最近はNon Skilled Workerとも云う〕分野にその多くが属しますが、果たして単純労働とは何でしょう。一旦、職業として従事すれば、その仕事の要領、熟練度、身体的適応力など様々な要素が要求され、従事する者はその事にプライドを持ったり使命感や達成感を覚えたりするものです。3Kと称される分野には社会の安定を底辺で支える極めて重要な業務が数多くあります。
外国人労働者を雇用するには、渡航費用や居住面での保障、業務指導など様々な点で日本人を雇用する以上の費用や労力が掛かります,自ずと賃金は同じ職域の日本人より低くせざるを得ません。しかし、企業内に外国人社員と日本人社員で異なる給与体系などの雇用形態を生み出す事になれば、労働法の関係や労働組合、労働界への影響など様々な問題へ波及することで、入管行政では消極的に取り扱われて来たのではないでしょうか。10年先20年先の日本の姿、世界の中での日本の位置付けはどのように成っているのでしょうか。その姿は容易には判断できませんが、人口の高齢化と人口構成の偏差は刻々と進展していきます。グローバル化は国際的環境の変化を、我々の日常生活へ一層直接的に影響をおよぼす筈です。今こそ、国際間の人の移動は勿論の事、年金問題、高齢者福祉、労働問題なども含め入管行政も総合的に根本から見直す時が来たように感じます。
以上の観点から、この度の日比FTAでの政府決定はあまりに性急に思わずにいられないのです。ODAを通して現地に研修センターを設置、日本での受け入れ先の病院等は日本政府が当たるようですが、悪質なリクルターや斡旋ブローカーの介入を防ぐには尤もな策だと思います。しかし、ODA等の原資はやはり税金から投入されるのですから少なくとも情報の公開は必要でしょう。年間200名程度なら行政分野で対処できるでしょうが、何れは民間の手を借りる事になるはずです。民間移管も視野にいれた枠組み作りは両国の民意が反映された公明正大な方法で進めて欲しいものです。時として上からの規制は特定の組織や団体の利権の温床と成ったり、加えて不正行為を生む種とも成りかねませんから。
繰り返し述べますが、両国政府がその枠組みを作り、10数年以上継続してきた「興行」で、フィリピン人エンターテナーが正規の合法的手続きを踏んで日本へ渡航したものの、出演先と称するClubで資格外活動やその他の入管法を犯したとして大量の退去強制を受けているのです。その多くは国内に適当な職がなく、家計を支える為に長期のトレーニングや煩雑な渡航プロセスを経て両国が認証した現地Recruitment Agencyや日本での招聘業者や出演先の指示にしたがって就労してきたのです。制度上の欠陥による犠牲者は、無知なエンターテナーの方なのではないでしょうか。ILOからも日本は違法摘発者への人道的配慮に欠けているとの指摘もうけています。その道のプロである業者が処罰を受けるのは当然であっても、退去強制を受けたエンターテナーには経済的にも知識面からも抗弁する術もないのです。最近まで年間7~8万人のエンターテナーが滞在期間6ヶ月を限度に日比間を行き来してきました。それを日本の入管では近々半数以下に抑えるような方針で今後も違法摘発に臨むと業界関係者の間では語られています。その様な情報に接した在留エンターテナーの中には将来の収入源が断たれる恐れから、数度の渡航のすえ築かれた人脈を頼って、又は違法ブローカーの誘いに乗って身を隠し不法滞在者になっていくケースが多々あります。罰則や取締まり強化等の規制強化だけで不法滞在者や入国者数を抑えることが出来るのでしょうか。より悪質な方法による入国や不法滞在者の増加を誘発するような結果に成らなければ良いのですが。 
・・・・・・マニラ在住12年、当年60歳の独り言・・・・・・
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by jpaccess | 2004-12-19 14:36 | 時事ニュース

「パブリックコメントと情報公開法」は公正且つ適正に運営されているか

新潟地震での災害、イラクへの自衛隊派派遣の延長、北朝鮮拉致問題、更には中国潜水艦の領海侵犯など、国内外に関わる重大なニュースに目を奪われていたところに、矢継ぎ早に公表された「日比FTAでフィリピン人看護師、介護士の受け入れ合意」「フィリピン人エンターテナーの入国制限」を日本政府が決定したとする報がフィリピンのメディアに大々的に取り上げられて驚かされた。
海外に在住する者として「浦島太郎」に成らぬよう、インターネットで日本の全国紙には必ず目を通すのを日課としているが、まさかこんなに急遽決定されるとは思っていなかったからである。
フィリピンの一般の人達は、国内に十分な収入をもたらす仕事がない国情である為、外資導入や貿易などの事柄以上に海外労働に対する関心の方が高く、日本への想いも我々の想像を超える。
フィリピン人の知人からは度々「自分の娘が看護婦学校に行っているが卒業したら日本では働けるだろうか」とか「今までエンターテナーとして日本で働けたのが、来年から出来ないと聞くが本当か」等の質問を受ける。その度に国の制度や法律はそう突然に変わることは無いから来年からという事は無いだろう、と答えてきた。
ところが、日本での報道記事を見ると私の予想は全く覆されてしまった。
特に、「共同ニュースによると、日本政府はフィリピン人に発給していた興業ビザの数を年間8万から8,000へ減らす計画で、これを政府の人身取引対策のための行動計画に盛り込むという(Inquirer)」や介護士、看護師の件でも「来年度より各100名を限度として」との記事を読んで、現実に確定したのかと思ってしまった。それにしては、あまり性急且つ具体性に欠けた政府施策なので、本誌はもとより他のウェブサイトなどへ自分の意見を投稿し始めた。

投稿に当たり、先ず本誌の「行政への一言、パブリック・コメント」を開いたところ、法務省の入管法の一部改正に関するパブリック・コメントの項が「入管法を犯して外国人女性風俗店で働いている大きな要因は・・・・外国の公的機関が発行した資格証明書を規定した一項目を現行法より削除する」平成16年12月3日(日)~17年1月4日(火)までの意見募集となっている。また、介護、看護師に関しては、FTAの合意事項の内容が明らかになるにつれ、読売新聞(12月2日付け社説)「日本の国家資格取得などの条件付きで看護師、介護士の受け入れは決まったが肝心の受け入れ人数は、両国の溝が埋まらず、先送りされた」のように他のメディアの取り扱いもかなりトーンダウンした表現となった。
やはり私の予想通り法律の施行には未だ時間を要すると一人納得していたのだが、ここにきてフィリピン人エンターテナーを招聘しているプロモーターやその組織の代表等が大挙してマニラに集まり、連日のように現地の派遣事業者と会合を持ち、其れを現地メディアが追うなど騒然と成ってきている。来週には、フィリピンの業界団体の一部が日本大使館に請願デモを行うとの報もある。日本の入管が来年年明けからフィリピン政府の資格証明では興行の申請を受けつけない事を請願の根拠としている。
長年海外生活しているうちに「浦島太郎」に成ってしまったかと自分の予測に自信を失い、法律の改正や成立にはどのようなプロセスを辿るのか調べてみた。
先ず、総務省のHPを調べたら「パブリック・コメントの手続きとは、行政機関が政策の立案や新たな規制を設けたり、又は改正・廃止したりする際に国民の意見や情報を提出する機会を設けなければならない。平成11年3月23日閣議決定、翌4月から実施(要約)」と記されている。この記述からすると、パブリック・コメントとは行政機関に義務付けられた国の制度のようだ。寄せられた意見に拘束力はないが、行政に出来るだけ民意を反映させる為の施策である。前述の入管法改正で示されているように意見募集の期間は最低1ヶ月なのだろうか。
仮に1ヶ月だとしても寄せられたコメントの分析、所管省庁での法文の素案作成、そして立法府での審査を受け施行となるのであれば、法律の改正・施行には意見募集開始から最短3ヶ月程度は掛かるのではないだろうか。
再び自分の予測に意を強くしていたところへ、今度は12月7日に「フィリピンに入国厳格化を通知、人身取引対策の計画が閣議決定された」との情報がTVやインターネットを通して入って来た。さて、閣議決定とは何か、法律との関係は・・・・又もインターネットで検索、有りました内閣法制局のホームページに。「内閣が提出する法律案は所管の関連省庁での法律案の原案作成、内閣法制局での審査、国会提出のための閣議決定、衆参両議院での可決、法律の成立、天皇への奏上、法律の施行となっています。この点からしても法律の施行は一朝一夕のことではない。
 情報公開法も調べてみた。公正で民主的な行政運営を実現する為に、各省庁に文書閲覧窓口を設け、情報公開を図ることを目的に「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」として平成11年5月7日に成立している。確かに、各省庁のホームページを見ると、行政文書の閲覧窓口の設置案内を掲載している、パブリック・コメントも意見募集だけでなく、集計結果も公開している。
すると、マニラで繰り広げられている騒然とした現象は、明日にでも新しい制度へ移行するとの印象を与えたメディアの報道姿勢に問題があるのかもしれない。また、日本側の民間団体が日本語や文化、行政機構などの知識に欠けるフィリピン人を相手に自らの利害を計算して、必要以上に危機感を煽り、偽った情報を流した結果で有るのかもしれない。
情報化の時代、様々な情報が国境を超えて一日の内に世界を駆け巡る時代となった。情報公開での行政の対応やマスメディアの報道のあり方には益々大きな責任が課せられてきている。特に、外交に関わる問題に関しては、英文併記をもっと多用するなどして外国人から誤解を招かぬようにする努力や外国の新聞で見られる掲載記事の執筆者の氏名掲載など採れる手段は色々有ると思う。少なくとも情報の受け手は、出し手に比べその情報に関する専門的知識の点では劣るのが一般的である。その劣る人々へ公正な理解の促進を図ることが情報公開の精神であろうし、またマスメディアの重要な役割と責任であると思う。

何れにせよ、フィリピンは、今年イラク戦争で反政府勢力に拉致されたトラック運転手の救済の為に自国の派遣軍を撤退させ、それを契機にイラクへの海外労働者の派遣も禁止された。数年前にはシンガポールで雇用者から被害を受けたメードの裁判の判決が不等であるとして大衆抗議行動が起きて一時は通商の断絶にまで発展しかねない状況となった。
この度の「介護士問題」「入管法改正に関わる問題」が誤った情報により長年築き上げてきた両国の相互信頼の基礎を揺るがすような結果にならぬことを祈る。
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by jpaccess | 2004-12-13 21:07 | 政治

やはり外圧に弱い行政、政府の姿勢、フィリピン人看護師受け入れが交換条件か?

Excite エキサイト : 国際ニュース
日比FTAでのフィリピン人看護師、介護士受入れ合意の報にふれて案じてたことが、ここにきて現実味を帯びてきた。
Human Traffickingで国際的批判を受けたことで、法務省は、入管法の興行資格で入国してきたフィリピン人芸能人「これまた表現が不明瞭」の入国制限を来年より行うとしている。

フィリピンの公的機関がフィリピン人女子に交付する資格認定証による入国、在留許可の制度を廃止するとしている。クラブやバーなどで入管法で禁じているホステス業務に従事している事や、不法滞在、売春等への関わりなどをその理由に上げているようだ。

新聞等の報道だけを見ると、あたかも資格認定制度の欠陥や出稼ぎのために資格を偽って入国するフィリピン側に全ての原因があるように感じてしまうが本当にそうだろうか。

法務省が、このような制度改正に急遽着手するのは、HumanTraffickingの国際的批判、国内での外国人犯罪の増加、不法在留者の一斉摘発の結果等を検討してのことだろうが、
フィリピンに在住12年の私からは、相手国にのみ改善を求める施策のようにしか受け取れません。また、不法在留者の一斉摘発の結果は十分に実態を反映しているのでしょうか、片手落ちの施策にならぬことを望みます。

何故なら、「興行」でのフィリピン人エンターテナーの受入れは何も今日に始まったことではないのです。二十年以上の歴史があり、その制度的枠組みは日比両政府間で創り上げてきたのです。
日本側で招聘業務に当たっているプロモーター「入管法では外国人芸能人招聘業者」、興行活動を行う「クラブやパブ」などは日本の入管「法務省」が認証して来たのです。問題は全て日本国内で起きているのですから、これらに関わる制度改正も同時に行う必要があるのではないでしょうか。日本側での行政の管理、監督責任が問われても然りです。

外国人犯罪の増加、凶悪化が指摘されていますが、日本人による犯罪との比較、また外国人入国者数「90年約300万人が現在500万人」との対比などを通してフィリピン人エンターテナーが加害者として関わった事例がどれだけあったか分析したのでしょうか。
フィリピン人エンターテナーの渡航、招聘には関連業者や機関が入管のみならず両国大使館への申請、届出が必須となっているので一斉摘発は容易であり、接客などの資格外活動
で大量の退去強制処分を受けたことは事実です。しかし、その人数の告示は摘発側の点数稼ぎのように受け取れて成りません。

日本に渡航するフィリピン人女子の大多数は家計を支える為に日本へ出稼ぎに行くのであって、在留期間が6ヶ月でも再度の渡航が約束されていれば不法滞在することなく帰国するのが殆どです。寧ろ、不法残留になるケースをみると日本人の誘いに乗ったり、突然の制度変更などで収入の道を立たれる思いから身を隠すのが実情です。

更に、入管で規定している「興行資格」ではシンガーは歌うことで、ダンサーは踊ることでしか就労を認めておらず、接客行為(ホステス)は資格外活動として禁じています。二十数年前に
は、この制度(数度の改変があった)のもとでフィリピン人ダンサーやバンドマンが温泉旅館やキャバレーのステージに出演していたました。その当時は確かに芸能人に匹敵するフィリピン人エンターテナーが興行活動だけで在留していました。しかし、時代が変わり、温泉地での興行の衰退、大型キャバレーの減少、其れに代わって都市部に出現したショーパブやカラオケクラブでフィリピン人エンターテナーを採用するところが増え、バブル経済の時代を通して日比間の所得格差の拡大、若きホステス不足による風俗産業での需要の増大で一気に全国的にフィりピンクラブなるものが出現、今日にいたっています。

ステージで演ずる芸能人が観客の招きでテーブルに着いたり、接客に従事することは自然なことであり何ら問題は無いのでしょうが、それが絶対的優位にある地位の者からの強制であれば人件侵害に値するのかもしれません。その線引きの曖昧さが原因でか入管はフィリピン人エンターテナーの接客行為をある時は黙認し、また世間の批判が高まると取り締まりに乗り出すなど一貫性に欠けていたように思います。

何れにせよ、ここでほんの触りだけを述べただけでも、この度の入管法改正の原因がフィリピン側だけにあるのでは無い事は分かるはずです。寧ろ、日本側の外国人就労者の受入れ体制の不備や、社会環境の変化に対する行政側の適応性の欠如に起因している面も多いのではないでしょうか。Human Traffickingでの批判やフィリピン人看護婦受入れ合意などで問題を摩り替えるような結果に成らねばと案じる次第です。
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by jpaccess | 2004-12-04 14:52 | 時事ニュース

日比FTAでのフィリピン人看護婦受け入れついて思うこと

2004年春より継続討議されてきた日本とフィリピンの自由貿易協定(FTA)交渉の結果、日本政府はフィリピン人看護婦、介護士の受けを基本的に合意し、来年度より両国間で受入れにかかわる制度的枠組み作りに着手することを決定した。その概要は、
1.就労VISAは日本人と同等の資格の取得を条件とする。
2.日本はODAにより、フィリピンにエキスパートを送り、資格取得の高いハードルとされる日本の文化、日本語教育、現場実務などの教育、訓練をフィリピン政府と協力して行う。
3.受入れ人数は、看護師100名、介護士100名の計200名までとする。
4.日本での就労先となる病院や介護機関の紹介は日本の公的機関が行う。

私はこの決定に関して大変危惧しています。先ず、この報が日本、フィリピンともに余りにもタイミング良く内外に向けてアナウンスされたこと。しかし、その内容は極めて漠然としていて、性急かつ妥協的な政治決着のように思えてならないのです。
l 介護保険制度が施行されてまだ4年弱、施行後3年5年で行うとされた検証や制度上の欠陥の総合的に見直しはされたのか。
l 外国人労働者の受入れは将来的には不可避と判断するがどのような産業分野または職種が対象となるか検討されたか。また、パートタイマー、派遣社員、フリーターなどの新たな労働層や、企業の雇用制度と現行労働法との関係などへの影響などは・・・・。
l 外国人犯罪の増加、テロ対策を背景に入管、警察連携して行ってきた違法在留外国人の取締まり強化によって、フィリピンより今日まで年間7~8万人の女子を受け入れてきた「興行」分野で、資格外活動、不法残留を理由に大量の退去強制処分(強制送還)が発生している。
l 米国国務省より、日本がHuman Trafficking(人身取引)の監視対象国として上げられた。(多くの外国人女性が風俗産業当で働いている実態が関連として取り上げられた。
l ODAを通して現地での教育訓練を行い、日本での受け入れ先は政府が行うとされているようだが、何れは民間の手に委ねる事になるだろう。そこに一部の者だけに便益が図られたるなどの利権や政治汚職を誘発しないか。
最も気に掛かることは、この度のFTAの決定について国民に対して政府より十分な説明がなされていない事ことです。
入管法の「興行」を通して十数年間にも渡り受入れ、6ヶ月に限り就労してきたフィリピン人タレントが現実には興行先とされているナイトクラブやパブで接客に従事して来たことは、両国の派遣、招聘に携わる関係者はもとより、入管業務に携わる者、クラブの客など衆目の知ることではないでしょうか。フィリピンで派遣元となっているRecruitment Agency、日本で招聘に当たるプロモーター(入管法で認定する外国人芸能人招聘業者)、出演先と称されるクラブやパブにしろ全て両国の公的機関で認証されているのです。この様な両国政府によって作られた制度の枠組みの下で「合法的」に入国したフィリピンの女子が、職場で働き始めるや、これまた入国を認めた入管の手で資格外活動を理由に退去強制の処分を受ける。制度上の欠陥による犠牲者は当人らの方ではないでしょうか。ILOからも日本は、この様な被害者への人道的配慮が足りないと指摘を受けてもいます。
フィリピン人看護、介護士が高いハードルを越えて日本で働き始めたが、職場での日本人同僚との軋轢や適応力不足などで雑用係に配置換えされたり、資格外活動で退去強制を受けることにでもなったら、その時こそ日本は世界に恥を晒すことになるでしょう。
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by jpaccess | 2004-12-02 16:43 | 時事ニュース